貴志裕介/新世界より(上)(中)(下)

新世界より(下) (講談社文庫)

新世界より(下) (講談社文庫)

人間が"呪力"をもち、一見平和で協力的な社会を築いている近未来。しかし好奇心と心の強さをあわせもつ主人公、早希たちはある日、過去の知識を蓄えた移動図書館「ミノシロモドキ」と出会い今の世界が徹底的に管理された共同体であり、数々の禁忌を知らされないまま育てられたことに気づいてしまう。世界の秘密を知った彼女たちへの弾圧と、時を同じくして表面化したバケネズミと人間の対立がスリリングに描かれる。またストーリーの引力もさることながら、この作品の魅力は数々の近未来の生物が生き生きと描かれることだ。