阿部謹也/中世賤民の宇宙

中世賎民の宇宙―ヨーロッパ原点への旅 (ちくま学芸文庫)

中世賎民の宇宙―ヨーロッパ原点への旅 (ちくま学芸文庫)

「刑吏の社会史」はとても読みやすかったのだが、こちらは難しく感じた。より学術的な内容のせいなのか、こちらの理解力が衰えているのか。「自分とは違う能力を持ったもの」を認めていた価値観がキリスト教の普及により公式には否定されていくことが賤民の誕生とつながっている、という論は面白く、社会心理学でいうカテゴリー化の話のように思えた。ただ、歴史学の方は証拠がより目に見えにくいので、想像なのか根拠のある論なのかの判断は難しい。