ナイロビの蜂

ナイロビの蜂〈上〉 (集英社文庫)ナイロビの蜂〈下〉 (集英社文庫)
シティ・オブ・ゴッド」の監督と聞いて楽しみにしていた。
前作で印象に残っていたのは音楽の使い方、切り替えの早い、テンポのいい映像。今作はアフリカ。スケールの大きい設定で話が進む。しかし監督がより力をいれて描きたかったのは主人公とその妻の絆のようだ。
 主人公はケニアの英国高等弁務官事務所に勤める庭いじりの好きな外交官。援助活動に熱心だった妻がある日殺された。妻の行動を調べ、アフリカを舞台にした多国籍製薬会社の新薬開発をめぐる秘密に迫っていく。
 最後の主人公の行動もいかにもイギリス人らしい。強大な力の前に戦うのをあきらめてしまったかのように見えるが、打つべき手は忘れていない。後味は悪いかもしれないが。レイフ・ファインズがぴったりの演技だった。
 原題"constant gardener"も内容にぴったりで、小説も早速読んでみたい。