Julie Doiron@下北沢 ラ・カーニャ

この日は「限定アコースティックライブ」でチケットは売切とは聞いていたが、
15分ほど前に着いた時には席はほとんど埋まっていた。通路もないほど椅子が詰まっている。
前列ステージ向かって左側に席を見つける。ステージの段に上がったところで、客席といっても
落ち着かない。あっという間にどんどん混んできて、トイレにも行けない状態に。

前座はWorld Standard(鈴木総一郎)+高田漣 +ピアノの人。
シングル発売前のSketch Showの曲を「先に歌っちゃいます」と歌っていた。mama!milkのライブ
などで何度か見ているが、今日は随分気合が入っている。

Julie Doiron TrioはJulie Doiron(Vo.,G)とベース、キーボードの3人編成。ご本人はマフラーに
リュックというバックパッカーのような格好で会場に登場。
キーボードとベースはジェレミーとマイケルと紹介される。Wodden Starsの人ではないか。
キーボードは刺青ありでちょっと怖げな人。落ち着きなくかなり古そうな小さなキーボードを叩く。
ベースはスキンヘッドでコーラスも入れる。

 確か"Will you still love me in december?"から始まった(と思う)。
本当に素晴らしいライブだった。私はこの人の中では"Loneliest in the morning"が一番好きだが、
最近のアルバムには切迫感が欠けてきたような気がして、正直ライブにはあまり期待していなかった。
だが、生で聴く演奏は緩急がついており、歌い上げ、ささやいてと1曲の中でメリハリがある。
技術的にはPastelsやGo-Betweensみたいなものかと思ってていたら、エレキの指弾きが歌とぴったり
の強弱をつけて曲を盛り上げていた。キーボードはマイクを叩く音をサンプリングしてリズムを作っ
たり、機材はへぼくてもDIY精神はあります!という印象だった。
 セットは特に決めていなかったようで、途中「今度はどういうのがいい?」などと話しながら曲目を
決めていく。緊張しているのか演奏を始めて「やっぱりこの曲はぴったりこない」と止めてしまったり、
「普段はこんなことないんだけど、今日は歌っていると思い出して曲に入り込んでしまう」「暑いんだ
けど寒いような気持ち」などと言っていた。
 1stから最近作まで幅広くとりあげながら歌っていく。"Wintermitts""Sending the photogaphs"
"Don't ask"あたりはCDではなんということもなく聴いていたが、ライブではすんなり良いなあと思えた。
CDに一番近かったのはWooden Stars版の”Sweeter"か。
 ただ、歌詞とは違い本人はいたって気さくで明るい。何が可笑しいのか歌いながら笑ってしまったり、
曲間にもにこにこ。「私は"ゲティ"(=tend to giggle?と言っていた)なの」と言うとおり、見ているこ
ちらも笑みがこぼれてしまうような暖かい雰囲気があった。
 あっという間に時間が過ぎてしまい、Julieは一度退場したが、アンコール3曲ほどのうち、最後は来年
の新しいアルバムに入る、という曲だった。これも彼女らしい暖かい曲で、来年が楽しみだ。